幽霊船
リチャード・バラム・ミドルトン 国書刊行会
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cover


 こんなのを見たことがあったな……昼日中、首無し男が井戸端に腰かけていて、足元に子供達が遊んでるんだ。父親といるみたいにね。実に幽的も住み心地のよさがわかってるんだね。
(本文より)


 引用文のように、幽霊達がのどかに暮らす田舎の村フェアフィールド。そんな村に、春の大嵐が幽霊船を運んできた。『狐と葡萄』亭のおかみさんが愛するかぶ畑の上に落ちてきたそれは、のんびりした村の日々を少し変えて……。
 
 私はイギリスの幽霊ものがとても好きです。イギリスの幽霊達は怖くない。人間味溢れていて、生活感があるんです。その人間臭さにあるユーモアが好き。
 そんな、私が大好きな幽霊がたくさん出てくる不思議な味わいの表題作です。この本は短編集なので、他にも色々な幽霊譚や、幽霊じゃないものの話も入っているのですが、この表題作はとにかくのどかでお勧め。
 フェアフィールドに住む幽霊と、村人達、幽霊船にのっていた幽霊達のやり取りが思わず笑っちゃう上質のユーモアに満ちています。人物描写がイギリスらしく(誇張も含め)はっきりされていて、どことなくリアル。本当にイギリスにはこんな村があるんじゃないかと思わせてくれます。
 こんな村に住んでみたい、と思ってしまう。この村を愛する村びとや幽霊の気持ちがよく分かります。とてもいい村です。
 イギリスの田園物語が好きな方にも、幽霊譚が好きな人にもお勧め。独特の透明感溢れるミドルトンの筆致でイギリスの田舎村の澄んだを満喫して下さい。

 表題作だけなら、絶版ですが『イギリス幻想短編集』にも収録されています。こちらも色々な話が楽しめるのでお勧め。

<2003年10月18日 文責/文月>


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