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スティーヴン・キング/小野美佐 訳
文春文庫 全4巻〈1〉〈3〉〈4〉〈2〉
cover  画像は3巻の表紙です。


 彼女はそのときのことをいちばんよく覚えている。雨の音、みなが分かち合った静寂、エディがここにいないことに対するぼんやりとした悲しみ。そうしたもろもろを覚えている。
 あのとき自分はとても若くて、とても強いんだと感じたのを覚えている。
(本文より)


 私が、ホラーを読む切っ掛けになった本。純然たるホラーかというと私としてはむしろファンタジーアドベンチャーに近いのではと思うけれど。
 キングの作品の中でも、長いわりに読みやすいのではないかと思います。子供達のやり取りを楽しんでいるうちにさくさく読める。と言うか、むしろ続きが気になっちゃうので全てそろえてから読むことをお勧めします。1巻を読み終わった次の日に、残りの3巻をまとめて買いに行ったのも懐かしい思い出。文庫では全4巻。ハードカヴァーでも上下巻になってます。
 多分、初めて読んだキング作品で、いちばん好きなキング作品です。
 子供のころの遊び、信仰じみた他愛無い儀式が力を持っていた世界。子供のころ、横断歩道の白い部分だけを渡って帰ればいいことがあると思っていたこと。そういう遊びを持っていた、あの信じる力がITに対抗する力となっていくあたり、やはりこれも魔法の話。そして、その魔法の性質故にラスト周辺の子供達の会話は切なくて泣けてきます。絶対に戻る事の出来ない子供時代、友情を書かせるとキングは本当にうまい。誰にでも似たような記憶があるんじゃないかなと言うディティールから、非現実に変わっていくところ、日常と非日常の絡まり方が、どこかしら前に紹介した、ブラットベリの『何かが道をやってくる』にも共通する気がします。ディティールの上手さ、少年達の魅力、そして魔法と言う点でブラッドベリから続く何かがあるのではないかと。
 梅雨明けから夏にかけて読みたい本。
 

<2002年7月5日>



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