赤いぼうしのクレヨン王国


福永令三 講談社KK文庫


 おれにも、かわったとは思えないよ。だがな、問題はその赤い色にある。
 あの赤クレヨンがな、ぼうしにつくづく同情して、ぼうしが早く落とし主の手にもどるように、悲しいまいごの気持ちからすくわれるように、と祈る。すると、その祈りが、ぼうしの色にのりうつっていくんだ。

本文より


 どこかの子供が自然公園に忘れていった赤いぼうし。赤クレヨンが願いを込めたぼうしは、カラスのカー、イタチのチー、リスのリーの仲良し三人組によって、再び持ち主の元へもどるのだろうか?
 ベテランの手による、安定感が安心して読める一冊。福永氏のユーモアと余裕が、全編に満ち渡っている。
 季節は冬。冒頭のトマトスープの暖かさが、北風の冷たさとの対比でくっきり浮かび上がってくる。寒さの中のぬくもりの描写、食べ物がとてもおいしそうに描かれています。読むとトマトスープと肉まんじゅうが食べたくなる。
 シリーズの他の作品ほど、メッセージ色が少なく、そのぶん情景が生きてきます。けちで、ずるいけどにくめない、コンばばのキャラクターも福永さんらしくていい。
 今は、少々手に入りにくいKK文庫からのクレヨン王国です。ごめんなさい。図書館で探してみて下さい。
 クレヨン王国シリーズは、有名なので、知ってる方も多いと思いますが、シリーズ中最もマイナーなのではないかと思われる作品です。
 これと同文庫で出ている『ロぺとキャベツのクレヨン王国』の方はKK文庫の方が絶版になった後、青い鳥文庫で復刊されたのですが、『赤いぼうし』の方はされずじまいでした。
 三木由記子さんの挿し絵もふんだんに使われ、二色刷りや、カラーまである綺麗な本です。

1月21日訂正。
 おはぎさんから、『赤いぼうしのクレヨン王国』は講談社青い鳥文庫『クレヨン王国ロぺとキャベツの物語』に同時収録されているとの情報を頂きました。
 絶版じゃなくて良かった良かった。不勉強で御迷惑をお掛けしました。というわけで、わりと見つかりやすいみたい。読んでみて下さい。でもやはりおすすめはKK文庫。挿し絵と文字のバランスが本当にいいんです。古本屋で見かけたら是非とも見てみて下さい。


  • クレヨン王国シリーズ、福永令三先生について詳しく知りたい方はこちら。
    おはぎさんのホームページ。福永令三作品リストなどがあります。

    おはぎの局




    2001年1月19日


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