魔女集会通り26番地
ディアナ・ウィン・ジョーンズ
両親を事故で無くしたキャットは、姉グウェンダリンと共に大魔術師クレストマンシーの館に引き取られた。
野心と才能に溢れるグウェンダリンはその力を認めさせようと色々な騒動を起こすが…。
ディアナより、ダイアナの方が邦名としては有名なイギリスのファンタジー作家ジョーンズの作品です。ほかに、「魔法使いハウルと火の悪魔」のシリーズが児童文学ではお薦め。
くせのある人物を書くのが上手いジョーンズの奇妙でおかしな魔法物語。現在は入手難ですが、図書館にならわりとあります。旅先の図書館で見つけてちょっとだけのつもりで目をとおしたら、止められずに最後まで読んでしまいました。
テンポのよくて、独特のユーモアに溢れた語り口は彼女ならでは。悪役をはじめどこかコミカルで、おかしな人たちの魅力に取り付かれてしまいます。ジョーンズは本当に人物を魅力的に書く。いつも気弱な主人公より明らかに目立ってる、クレストマンシーやソ−ンダースさん達お城の住人(笑)、その対比が気持ちいいです。ぶっ飛んだグウェンダリンの性格と行動も痛快でした(苦笑)。
現実と魔法の要素のバランスも彼女ならでは。一見、私たちの世界と同じように見えるキャットの世界ですが、そこには、魔法が当たり前の出来事として社会に組み込まれています。魔法のファンタジー感覚と現実感覚が混ざり合ったこの感じは、異世界ものと言うよりエヴリディマジックの世界に近いかも。その日常感覚が、明らかに違う世界の話でありながら彼らの心情を身近に感じさせます。
<追記(2001年 11月6日)>
徳間書店より
魔女と暮らせば―大魔法使い...
『魔女とくらせば』と言うタイトルで再訳されることになりました。今回は、クレストマンシーのシリーズ4冊全てを刊行。既に『魔法使いは誰』と『クリストファーの魔法の旅』が出ています。
<2001年 5月8日>
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