夏の鬼 その他の鬼


早見裕司/エニックス

『あんたがその、『もの』の声を『きいた』んだったら、それは『きく』べきだから、『きいた』んで、異常でもなんでもない。
 あんたは、その声が何を言おうとしているか、知らなきゃいけないのよ。(中略)
 あんたがこれからも、生きていくんだったらね。』
(本文より)


 他の人には聞こえない、『声』をきくことができる少女、水淵季里(みずぶちきり)。彼女と、それを取り巻く人々、そして彼女の住む街の物語。
 基本的には季里の通う高校を舞台としたつくも神や、鬼、呪詛、死者の出てくる現代ファンタジー。ファンタジーと言うよりも、少し不思議な話と言う感じ。奇談と作者は言っている。

 季里は、未熟児で生まれた。小さく痩せた少女だ。子供のような喋り方をする。何をするのも人より遅くて、何でも真面目に考えてしまう。周りと違うものが見えてしまうから、周りと違うスピードで生きている子。
 季里の真摯さがいい。何もできない、と自分で思ってる虐められっこだった季里。だからこそ彼女は、無理に急いだり、人に合わせようとせずに、自分のやりかたを探さなければならない。
 彼女が、出会った人達の為に何かをしようとすることで、自分のことも変えていく過程が、ゆっくりと静かに書かれています。必要以上に飾り立てない感情描写が、時に派手に書くよりも深く突き刺さってきたり。
 優しい話だと思います。優しさは、甘さではないので、ときには痛みも避けられないけれど、その甘くない世界で生きていくことを、季里は一生懸命に考えている。自分に対して真面目に生きていくにはどうすればいいか、を考える季里の姿勢が清清しい。
 最近、違った意味で使われている気がするけれど、こういう話を青春ものと言うのではないでしょうか。まだ、世界との接し方がわからない少女が、それを手探りで学んでいこうとする話。
 
 季里は、声を力としていくのですが、このはなしには他にも音がたくさん出てきます。この話の舞台となっている時代にあわせた、多種多様な音楽が実名で出てくるのが、好きな人には楽しい。

 現在この話の続編を出す為のキャンペーン中と言うことで、夏の話ですがお勧めさせて頂きました。早見さんのサイトにて、このシリーズの詳しい説明がのっているのですが、リンク報告制ということでこちらからリンクははっていません。検索エンジンなどで、作者のHPは見つけることができるのでどうぞ。
 他、私もキャンペーンとして(笑)私にオフで合うことのある方にならこの本を貸しますので、是非読んでみて下さい。半年くらいなら貸すよー 。
 そうでないけど読みたい方は、図書館で探してみて下さい。ない場合はリクエストしてみると尚良いと思います。
 

<2002年12月17日>



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