真世の王


妹尾ゆふ子
真世の王〈上〉黒竜の書EXノベルズ
真世の王〈下〉白竜の書EXノベルズ

『いつか終わりが来るなら、始まることすら馬鹿馬鹿しいの?  そんなこと、わたしは認めない』 (本文より)


 夜が長くなってきた秋に、一気に読む事をお勧めします。次の日は休みだと尚よし。じゃないと睡眠不足は必死な1冊。
 滅びを迎えようとする世界とそれに対峙する人々の話。
 世界が滅ぶ、ラスト周辺はみんなギリギリで、見ていて苦しくなる程でした。その中で、もがき、懸命に立ち上がろうとするエスタシアとウルバンの姿が清々しいです。中盤までは戸惑いが多くて、頼り無かったエスタシアが、終盤で口にした 引用の台詞。「テイ(立て)、エスタシア」という言葉と合わせて、彼女のが運命に真向かい、立つ姿に泣きそうになりました。強くなったなぁ。
 現存の神話をもとにした前2作では現実世界からのリンクと言う点で、私的に少々物足りなかった妹尾作品のイチオシポイント、溢れる程のイメージの壮大さも堪能できます。やっぱり、全てを自由に作れる(元になるものはあるとしても)異世界ファンタジーが、妹尾さんは一番生き生きしてるように思う。それとも、言葉が力を持つ世界と言う設定の所為なのだろうか。彼女の言葉はほんと読んでいて、わくわくする。
 世界とはいかにして作られるのか、真世の王、悪夢の王とは何? 誰? ちりばめられた謎と、その中で生きる登場人物達が切ない。皆、何かを失って、何かを守ろうとしてる。特に、序盤から時折出てくる子供時代のウルバンとジェンの姿が、大人になった彼等と対比されて泣けます。彼等が大人になって直面した問題と、昔の頃から変わらなかった性質のために行き着くしかなかった結論。
 最後まで、どこに行き着くかわからないまま、うねり絡まる物語に夢中になる1冊です。
 いろんな所で紹介されてるけれど、コアなファンタジーファン向き、らしい。私は、あまりそう言う所意識していないので良くわからないのですが。自分がコアなファンタジーファンだとはあまり思った事ないし。翻訳ものやハヤカワFTが好きな人、日本製RPGファンタジー以外も読める人なら楽しめるはずです。


<2002年10月8日>



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