ルーマー・ゴッテン/徳間書店
<引用は準備中です>
(本文より)
旅先で母が入院してしまい、子供だけでフランスのホテルに暮らすことになった主人公たち姉弟。主人公とその姉が子供から大人へと変わっていく様を描いた二度と無い夏の記録。
保護者を離れて、大人の中にほうり出されることになった主人公達兄妹。子供としていればいい妹たちとは違い、主人公と姉のジョスは大人としても振る舞えることに戸惑い、周りの人々の態度にも戸惑いながら揺れ動く日々を過ごしていく。
誰の気持ちも何となく分かるがゆえに、自分にも覚えのある状況であるがゆえに、訪れる痛みのどうしようもなさがいっそう苦しい。そんな『人形の家』や『バレエダンサー』などの作者ゴッテンの自伝的作品です。でも、苦しさは以外と少なめ。
実際にあった事件をもとにして書かれた夏は、最後の最後まで予感を溜め込んで一気に結末へとなだれ込む。そこへ至るまでの、主人公たちの不安定さ、ぎこちなさが妙に美しい。
<2004年8月14日>
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