時計坂の家


高楼方子 リプリオ出版


何度体験しても、慣れるということのないできごとがあるとしたら、これもそのひとつだった。
言いようのない不可思議さに、初めてのときと同じ目眩をおぼえるのだ。
そしてやがて、目の前に、ぼんやり、ぼんやり、緑色の景色があらわれる。
牡丹色の霞の中から、ふうわり、ふうわり、立ちあらわれてくるのだ。
(本文より)


 文月のベスト・オブ・児童文学。もう五年もの間、その地位は変わってません。
 ロォムの園の泣きたい程美しい描写。それに惹かれれば惹かれる程、ラストが切ない。

『惹きつけるものの方ではなく、どうしようもなく惹きつけられてしまう心の方。
それが常に問題だったのだ』(本文より)


 この言葉が、初めて読んだときとても痛かった。小さい頃から、空想の世界で遊ぶことが一番の楽しみだった私に、その言葉は向けられていました。
 現実には、どうしても手に入れることの出来ない何かに対する、渇望。それをかかえて、生きていくしかない苦しみ。
 その頃、空想の世界と現実との間で、うまく動けずにいた私にとって、ラスト近くのフー子の苦しみは身に迫るものがありました。
 ラストの救いは、当時の私にとって、共感できるものとは少しちがっていたように思います。私は、誰かに引き止められたわけではないから。
 今もこの本よむと苦しくなります。私はまだ、現実ではないほうの世界に惹かれてしまう人間です。
 それでも、読み返さずにいられないのは、そのことにより、自分をひきとめようとしているのかもしれません。ここにいる自分がただしいんだと確かめたいから。

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